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煙草

煙草を吸うようになったのはいつごろだろうか。

はっきりわかっていることは、昔付き合っていた、LA出身のナイスガイとの不倫の恋の終りの後だった。

 

クリスマスの日、彼はUSでは、家族のビッグホリデーである、妻子のもとに帰っていく。

そして、彼のフェイスブックのタイムラインには、家族や友人一家とのクリスマスパーティの模様が、

きらびやかに輝いてアップロードされる。

私はそれを見て、もう二度と彼には連絡すまい、これっきりで縁を切ろうと思うのだが、

次のデートのキスのたびに、彼の甘い唇が私を彼のもとにぐいぐい引き寄せるのだ。

 

彼とは、軽いデーティングサイトで出会った。私の経歴や、学んできた学問、ビジネスの内容などが彼の目に

面白く映ったらしく、気軽に「飲みにいかない?」と誘われた。

大阪は梅田の家庭的なバーで、彼と会った。当時私の話す英語は拙く、ネイティブレベルではなかったので、

彼は日本語と英語を交えて、彼の来歴を、ぽつりぽつりと話してくれた。ハイボールに魅力的な唇をつけながら。

 

「僕のルックスはゲイっぽいヤサ男だし、それですごく苛められてきたんだ。ティーンエイジャーの頃にはね。」

「ハワイに居た頃に、マリファナをやったけど、何だか何も思わなかったなあ。ただ色とりどりの幾何学模様が目の前に現れただけ。」

「僕の両親は、ラスベガスで成功したマジシャンのカップルで、毎週末になると、家でコカインパーティやヘロインパーティが開かれてた。

そこに集まってくるジャンキー達が僕は大嫌いだったから、今でもドラッグは嫌いなんだ。」

「最初の恋人は、精神を病んでいて、たびたび自殺未遂を繰り返してたんだ。だから僕は彼女を守りたいと思った。

でも彼女は、だんだんキリスト教にハマって行って、僕の両親とも口をきかなくなった。僕はすごく寂しかった。

だって僕が彼女を守りたかったんだもの。今では彼女は神様ってやつに守られてるんじゃないかなあ。」

「ハワイ時代の彼女は、スチュワーデスで、とっても嫉妬深くて、何度もナイフを突きつけられたよ。」

「そんなに病んでもなくて、そんなに嫉妬深くもない。僕がこうして君と飲んでたとしても、今のワイフはどうでもいいって感じなんだ。

そう、”普通”だね、”FUTSU-U”。」そこだけ日本語を使った。

 

音楽やジョーク、映画の趣味もピッタリ合った。もちろん身体の相性も。

 

1年ほどそんな関係は続いたけど、彼は、「”FUTSU-U WIFE”」のもとに帰って行った。

 

その間、さまざまな感情のもつれがあったけど、今はあまり覚えていない。ただただ、燃えるような激情の嵐のぶつけ合いだったと思う。

 

唇が寂しくなった私の手に、いつしかセブンスターの箱が握られていた。

学生時代、軽音学部でロックバンドをやっていた私の周りは、ほとんどが煙草を吸う男ばかりだった。

でも私は、なぜか煙草には興味がなかった。担当している鍵盤楽器とコーラスの技術の向上に、ひたすら打ち込んでいたように思う。

30歳前後のその恋で、燃ゆる恋獄を味わった私は、ある種自傷行為として、煙草に手を伸ばしたのかもしれない。

無性に自己破壊の衝動が出てきたのだ。

 

『あなたは煙草を吸わないの?煙草は、良心をなだめるというわ。シスター・ベアトリーチェもときどきやってるわ。』

英国MI6の伝説のスパイマスター、ジョージ・スマイリーに、カソリック系の精神病院に入院する、スマイリーの宿敵カーラの

娘、タチアーナがスマイリーに言う台詞がある。

 

『良心をなだめる』。確かにそうかもしれない。ぽっかり空いた心の穴と、また巡ってきたクリスマスシーズンの凍てつく夜の空に、

セブンスターの煙が吸い込まれていく。その煙と、向こう側にぼんやり映る世界の景色が、私のブルーな気持ちに、ぴったり寄り添ってくれたのだ。

 

世間では、オトコで失敗して、悪い癖がつくことを、「ハメずれする」というが、煙草は煙草なりに、良い奴だと思う。

30前後で吸い始めて、今40歳だ。10年位吸ってきたことになるかな。

セブンスターから始まって、ショートホープ、マイルドセブン(当時。今はメビウス。)とめぐったが、今は、ついとイベントブースに立ち寄った、

「ラーク・ハイブリッド・ワン」に落ち着いている。

 

『SMOKE』という、煙草そのものをテーマにした映画もある。

 

今や日本列島総禁煙運動で、喫煙者は、社会のゴミクズみたいに扱われて、いかにも煙草を吸わないことを誇る輩が跋扈する中、

愛煙家の私としては、人間としても女性としても肩身の狭いばかりだ。

久しぶりに会う軽音学部の同期の友人知人には、「声が枯れた!」と指摘されいつも煙草を咥えながら苦笑いする私。

 

でも、朝起きて、自慢の自作のアイスカフェラテ(牛乳とコーヒーの割合は8:2。氷の割合は多めに。

ガムシロップはカロリーが高いのでカロリーゼロのパルスイートを少々。)

を作って朝の最初の1本を吸うとき、何となく、『生きてあることに対する罪悪感』がなだまったように思うのだ。

これのことかな。”良心をなだめる”って。

 

あとは、重要な決断をする前、このような文章を書く前のブレインストーミングのお供に、友人との長電話のお供に。

煙草をタブーとする宗教まである始末で、これはやはり、それだけ煙草には人を惹きつけてやまない魅力がある証拠だと思う。

 

この原稿を書く間に3本吸った。煙越しに見える画面の、自分の打った文字を眺めながら、私は『良心をなだめている』のだろうか。

曲がりなりにもクリスチャンの端くれの私に、教会の仲間からは、”NO SMOKE!”を押し付けられることがあるが、

何を根拠にそんなに煙草を蔑視するのかさっぱりわからないので、相変わらず苦笑いしながら煙草をふかす私である。

 

『酒と泪と男と女』という永遠の命題の中に、煙草の煙が漂ってはいないだろうか。

POSマーケティングではポスティング中の煙草は禁止です。

 

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